中国武術の根幹をなす「太極拳」。その起源や発展、様々な流派、国際大会での歴史などをひもとくクイズを用意しました。24式太極拳の制定年や、南拳の代表流派・洪家拳の創始者、さらに競技規則についても出題。武術の知識が深まるとともに、中国文化の一端にも迫れる内容となっています。太極拳愛好家からスポーツファンまで、幅広い関心層に楽しんでいただける全10問です。
Q1 : 中国国家武術段位制で最高位にあたる九段取得者に与えられる称号は何と呼ばれるか?
中国武術段位制は初段位(1段)から高段位(9段)まで分かれ、九段は武術文化に卓越した貢献をした巨匠に限り授与される名誉的位階である。九段の公式称号は「武徳敦化」であり、武術の徳をもって人心を感化し社会に恩恵を施す意が込められている。授与対象者には、呉彬や張徳厚など中国武術界の重鎮が名を連ねる。なお七段は「武徳栄誉」、八段は「武徳弘光」と呼ばれ、それぞれ徳行と技芸のバランスが評価軸となる。
Q2 : 楊式太極拳の系統から派生し新たな流派を確立した呉式太極拳の創始者は誰か?
呉式太極拳は清末期の武官であった呉鑑泉(1870-1942)が父・呉全佑から学んだ楊式太極拳旧架を改編し、歩幅を小さく上体を直立させた「小架式」を特色として体系化した流派である。楊露禅の次男・楊班侯門下の呉全佑の技術をさらに整理し、上海の精武体育会などで教授して急速に普及した。呉公儀は鑑泉の息子で上海香港での普及者、呉壮元は孫にあたる。創始を問う設問では呉鑑泉が正答となる。
Q3 : 国際武術連盟(IWUF)の本部が置かれている都市はどこか?
IWUF(International Wushu Federation)は1990年の北京アジア大会後の1991年、世界各国の武術協会が集まり北京で創設された国際統括団体で、現在も本部を北京市朝陽区の国家奥林匹克体育中心内に置く。IWUFは世界武術選手権大会や太極拳世界選手権などを主催し、IOC公認国際競技連盟協会(ARISF)加盟を通じて五輪種目化も目指している。上海や香港は武術産業が盛んだが、本部機能は北京に集中しているため北京が正答となる。
Q4 : 武術太極拳の規定套路「24式太極拳」が中国国家体委により制定された年はいつか?
24式太極拳は、1956年に中国国家体育運動委員会が一般大衆向け健康体操として、それまでの複雑な伝統套路を簡明化して制定したものである。採用にあたっては楊式太極拳をベースに要点を抜粋し、初心者でも10分程度で演練できる長さに集約した。現在では世界で最も普及した太極拳套路とされ、国際大会の入門種目や学校体育教材にも採用されている。制定年を問うことで、近代武術普及政策との関連を確認できる問題である。
Q5 : 北派長拳の代表的跳躍技である旋子跳などを含む「旋子拳」の発祥地とされる中国の省はどこか?
旋子拳は清末から民国期にかけて河北省滄州地方で流行したと伝えられる北派武術で、身体を水平に回転させる「旋子」動作が特色である。長拳競技では、旋子跳や盤腿旋子などの回転跳躍が演技難度の基礎となり、多くの選手が河北旋子拳の技術系譜を学んでいる。山東省には査拳や翻子拳、河南省には少林拳、湖北省には峨眉派などがあるが、旋子拳固有の名称から歴史的に河北省が発祥とされる。よって河北省が正答となる。
Q6 : 南派武術の一つである洪家拳(洪拳)を創始したと伝えられる人物は誰か?
洪家拳は清代の少林寺焼失後に逃れたとされる坊門僧・洪熙官が、福建エリアで五形拳などを融合し体系化した武術と伝承される。映画『七小福』などで描かれた黄飛鴻は後世の名門弟子、葉問は詠春拳、李小龍は截拳道の創始者であり直接の関係はない。洪家拳は虎鶴双形などの力強い橋手や馬歩を特徴とし、南拳競技套路の基礎技にも影響を与えた。創始者の名称を問うことで、南派諸流の系譜理解を測る問題である。
Q7 : 国際武術連盟(IWUF)規則で成人男子が長器械種目に使用する槍(長槍)の最低長さはどう定められているか?
IWUF最新規則では、槍(長槍)の全長は穂先を含めて選手の身長以上でなければならず、競技前の器械検査で地面に立てて選手と比較し確認が行われる。身長未満の器械は失格対象となり、逆に長さ上限は身長より5cm程度までの誤差が許容される。これは、槍技の伸びやかさと安全性を両立させるための国際基準である。一方、棍もおおむね身長以上が義務づけられているが、刀や剣は腕長に準じる別規定が設けられている。
Q8 : 河南省陳家溝で発祥し、太極拳諸流派の源流とされる流派はどれか?
太極拳は17世紀に河南省温県陳家溝で陳氏一族が創始した陳式太極拳を源とし、後に楊式・呉式・孫式などへ派生した。陳式は纏糸勁と呼ばれる螺旋運動、跳躍や発勁を含む大架・小架が特徴で、套路中に砲捶や連続爆発的動作が組み込まれる。楊式は陳式を学んだ楊露禅が発展させ、ゆったりとした大極上架に変化。孫式は孫禄堂が形意拳や八卦掌を統合した。よって起源を問う設問では陳式太極拳が正答となる。
Q9 : 武術太極拳がアジア競技大会で初めて正式競技となったのは第何回大会か?
アジア競技大会に武術が正式種目として加わったのは1990年の第11回北京大会である。開催国中国の強い働きかけにより、長拳・南拳・太極拳の3種別が採用され、多くの選手が初の国際マルチスポーツイベントで競演した。これを契機にアジア各国で連盟設立が進み、1991年には国際武術連盟(IWUF)が発足。なおソウル大会では公開競技にもならず、広島大会以降は継続採用されたが、最初に正式競技になったのは北京大会である。
Q10 : 形意拳の五行拳の一つ『崩拳』が象徴するとされる五行要素は何か?
形意拳の基本である五行拳は劈(金)・崩(木)・鑽(水)・炮(火)・横(土)に対応し、それぞれの勁路と養生理論を示す。崩拳は前方へ弾くように踏み込みながら一気に貫く直線の勁を持ち、樹木が根を割って芽を吹き出すイメージから木行に配当される。火行に当たるのは炮拳、水行は鑽拳、土行は横拳である。五行理論を理解することは、形意拳の攻防理念だけでなく中医学的な気血運行の解釈にも役立つ。
まとめ
いかがでしたか? 今回は中国武術(武術太極拳)クイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は中国武術(武術太極拳)クイズを出題しました。
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次回のクイズもお楽しみに。