日本の大学制度には学士、修士、博士という3つの主要な学位課程が存在します。それぞれの課程には異なる教育目標と修了要件が設けられており、修了後に得られる学位の性質も大きく異なります。本クイズでは、これら3つの学位課程の違いについて、具体的な知識を問う10問を用意しました。大学進学を検討している方や、すでに在学中の方など、幅広い層の方に有益な情報が得られるはずです。学位制度の基礎を確認し、自身の進路選択の参考にしていただければ幸いです。
Q1 : 日本の大学院修士課程修了者が取得する単位数の目安として文部科学省令で定められている最低単位数は次のうちどれか? 16単位 24単位 30単位 62単位
大学院設置基準第6条では、修士課程の卒業要件として「30単位以上の修得」と「修士論文その他研究成果の審査に合格すること」が定められている。16単位や24単位は科目等履修生などの最低ラインではなく、62単位は教職課程などで求められる場合があるが修士全体の要件ではない。したがって修士課程で求められる最低取得単位数は30単位である。
Q2 : 博士号取得者に付与される社会的・職業的特権に関する説明で正しいものはどれか? 医師国家試験の受験資格が自動的に得られる 大学で専任教員として雇用しなければならない法的義務を大学に課せる 税法上の優遇措置が受けられる 大学で学位論文の主査や研究指導教員になるための最低資格とされることが多い
博士号は法的には特定の独占業務を直接保証する資格ではないが、大学等で研究指導を行う際には博士号保有が教員任用や学位審査委員を務めるための事実上の基準とされることが多い。医師国家試験や税制優遇とは無関係で、大学が博士号取得者を必ず雇用しなければならない義務も存在しない。多くの大学院研究科の内規では、主査や研究指導教員は博士号を持つ専任教員に限るとしており、これが実務上の特権となっている。
Q3 : 学士・修士・博士の教育目標に関する説明で最も適切なのはどれか? 学士は基礎的学識の習得、修士は専門的研究能力の養成、博士は独創的研究による新規知の創出 学士は専門家養成、修士は基礎教育、博士は応用教育 三課程とも教育目標に差はない 博士課程は教育目標として大学教員養成のみを掲げる
学士課程は幅広い教養と専門基礎知識を身につけることを目的とし、修士課程はその上で独立して研究計画を立案し遂行する能力を養成する。その延長線上にある博士課程では自立した研究者として世界の学問に新たな知見を加えることが期待される。このように三段階は階層的に教育目標が設定され、難易度と独創性の要求が段階的に高まる。よって設問の説明が最も妥当であるのは選択肢1である。
Q4 : 博士号取得者に用いる敬称として国際的に最も一般的なものはどれか? Prof. Dr. Mr./Ms. Ph.
学術的に博士号保持者を敬称で呼ぶ場合、国際的に最も広く用いられるのは名前の前に付けるDr.である。これはDoctor of Philosophy(PhD)に由来し、医学博士以外の博士号所有者にも共通して使用できる。Prof.は教授という職位を示し、博士を持たない教授も存在するため学位と直接結び付かない。Mr./Ms.は一般の敬称であり学位を示さない。Ph.単独では意味を成さないため適切でない。
Q5 : 日本の大学において学士課程・修士課程・博士後期課程を標準年限で修了した場合、3課程合計で最も短い年数の組み合わせは何年間になるか? 4年+2年+3年=9年 4年+1年+3年=8年 3年+2年+3年=8年 4年+2年+4年=10年
日本の大学等で定められた標準修業年限は、学士課程4年、大学院修士課程2年、博士後期課程3年である。飛び級などの特例を用いずに各課程を順調に進んだ場合、合計9年間で3つの学位を順に取得できる計算になる。各課程の年限は学校教育法施行規則などで明記されており、多くの大学がこれを採用している。なお医学部など6年制学部は例外であるが、ここでは一般的な4年制学部を前提としている。
Q6 : 学位記の正式名称に「学士」の文字が入るのは次のうちどのレベルの学位か? 修士 学士 博士 専門職学位
学位記の表記は学校教育法施行規則で定められており、学士の学位には「学士(文学)」のように学士の文字が必ず入る。一方、修士には「修士(工学)」、博士には「博士(理学)」と記されるため、学士の文字が出るのは学士レベルのみである。専門職学位は「○○専門職」など別形式で、学士という言葉は使わない。したがって問われている条件に該当するのは学士である。
Q7 : 日本で博士後期課程に入学する一般的な要件として、最も正しいものはどれか? 高校卒業資格を持つこと 短期大学士を取得していること 修士の学位または専門職学位を取得していること 准教授以上の職にあること
博士後期課程は高度な独創的研究を遂行できる人材を育成する最終段階であり、入学者には既に修士相当の研究基礎能力があることが求められる。そのため大学院設置基準では修士の学位(または専門職学位)取得者、もしくは同等以上の学力を有すると大学が認めた者のみが一般的な入学資格となる。高校卒業や短大卒では通常直接出願できず、教員資格も入学要件ではない。
Q8 : 修士論文と博士論文の位置づけの違いとして正しいものはどれか? どちらも既存研究の要約で十分とされる 修士論文は独創性が求められ、博士論文は既存研究のまとめでよい 両者とも学術雑誌掲載が義務である 博士論文では国際的に新規性と独創性が要求され、修士論文は基礎的研究訓練の成果とされる
修士論文は研究トレーニングの集大成として、既存研究の理解と一定の独自データをまとめたもので足りるとされる。一方、博士論文は学位規則で「学術の進歩に寄与する独創的研究成果」であることが求められ、新規性・有用性・再現性が国際水準で審査される。既存研究のまとめだけでは博士号は授与されない。したがって両者の決定的な違いは独創性の要求水準にある。
Q9 : 日本の大学制度で、卒業すると学士(○○)の学位が授与されるのはどの課程か? 大学の学部課程 大学院の修士課程 大学院の博士後期課程 高等専門学校専攻科
学士(○○)は大学の学部課程を卒業した者に対して授与される第一段階の学位である。大学院の修士課程を修了すると修士(○○)、博士後期課程を修了すると博士(○○)が授与される。高等専門学校専攻科修了者は学士ではなく学士相当の称号を申請により取得できるが、自動的に学士が授与されるわけではない。したがって学士の学位が直接得られるのは学部課程の卒業時のみである。
Q10 : 学士・修士・博士の学位を国際的な英語表記で示した際、正しい組み合わせはどれか? BSc, MSc, DLit BA/BSc, MA/MSc, PhD BS, MS, MD BEng, MPhil, J.D.
国際的には、文学系の学士はBA、理工系はBScまたはBSと表記されるが、総称としてBA/BScと並列表記されることが多い。同様に修士はMA/MSc、博士はPhDが最も一般的である。DLitは文学博士の一形態で普遍的ではなく、MDは医学博士で研究系博士とは異なる。J.D.は法務博士であり日本の博士号とは分類が異なる。したがって最も標準的な組み合わせはBA/BSc, MA/MSc, PhDである。
まとめ
いかがでしたか? 今回は学士と修士と博士の違いクイズをお送りしました。
皆さんは何問正解できましたか?
今回は学士と修士と博士の違いクイズを出題しました。
ぜひ、ほかのクイズにも挑戦してみてください!
次回のクイズもお楽しみに。